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大人におすすめの「藍染めのアポレンカ」/きみ子さんのイチオシ絵本

大人にこそおすすめしたい絵本。その一つが『藍染めのアポレンカ』という作品です。

藍色の美しさに心惹かれました。日本にも古来から伝わる藍染め技法があるけれど、チェコにもあることをこの絵本で初めて知り、もっと深く調べてみたくなりました。

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このページの目次

ストーリー

藍染め工房を営み、2匹の猫と暮らす老夫婦は、伝統技術を継承する後継者がいないことに悩んでいました。

ある日曜日の散歩で、夫婦は真っ赤な髪をした汚れた人形を見つけます。その人形を持ち帰ってきれいにしてあげたところ、翌朝には本物の女の子に変わっていました。

「光の少女」を意味する「アポレンカ」と名付けられた少女は老夫婦によって大切に育てられ、ほどなく藍染めに興味を持つようになります。

アポレンカは工房を手伝い始めます。祖父の仕事と宇宙のように深い藍色の染料を見て、はたと自分がどこから来て、どのような使命を持っているのかに気づき、藍染めの伝統を守ろうと決意します・・・。

作品について

チェコで2020年に出版された作品。チェコの藍染めの歴史は18世紀頃から始まり、一時は巨大なマーケットでした。たくさんあった工房も時代とともに減少し、現在ではヴィソチナ州と南モラヴィア州にエ房を残すのみとなっています。

出版の少し前のチェコでは2015年に藍染めがチェコ共和国無形文化遺産に指定され、また2018年にはチェコを含む5か国(オーストリア、チェコ。ドイツ、ハンガリー、スロバキア)が共同で推し進めていた「青いプリント、ヨーロッパにおける防染ブロックプリントと藍染め」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、藍染めへの興味関心が高まっていました。

コシュトコヴァーさんは本作品を執筆する前、イラストレーターのヴェロニカ・ヴルコヴァーさんとともに藍染めの伝統技術が残るモラヴィア地方へ出向き、4年ほどかけて取材・調査を行いました。

本作品はチェコ・グランド・デザイン最優秀イラストレーター賞を受賞しています。

作者について

作:ロマナ・コシュトコヴァー

文を書いたロマナ・コシュトコヴァーさんはホドニーン市の美術館で教育普及を担当している学芸員。

絵:ヴェロニカ・ヴルコヴァー/ヤン・シュラーメク

絵を担当したのはヴェロニカ・ヴルコヴァーさん。繊細で詩的な水彩画と特徴的な文字の使い方は、ヴェロニカさんのトレードマークです。ヴェロニカ・ヴルコヴァーさんとヤン・シュラメクさんは長年アーティストデュオを組んでおり、共同作品は2020年のボローニャ児童書フェアのイラストレーター展に選ばれ、チェコ・グランドデザインコンペティションのイラストレーター・オブ・ザ・イヤー部門でも賞を受賞しました。

訳:小川里枝

翻訳を担当した小川里枝さんは元群馬県高崎市美術館の学芸員。チェコ工芸研究家であり、チェコの藍染めを使った作品制作を通じてチェコの工芸や文化を日本に伝える「ヴィオルカ」の設立者でもあります。

本作品を和訳するにあたっては、日本の藍染め職人や染織作家の人たちに取材してチェコの染色用語を正しく日本語に置き換えることに注力しています。

深掘り情報

ヴェロニカ・ヴルコヴァーさんとヤン・シュラメクさんは一緒に『藍染めのアポレンカ』(2020年)やプラハの地下鉄について詳しく紹介した『That’s the Metro, Man!/ To je metro, čeče,』(2019年)などの書籍のイラストを手がけています。後者は2019年の児童書部門で最も美しいチェコの本に選ばれました。

ヴェロニカさんが水彩画を描き、ヤンさんがベクトル描画を作成し、2 つの画像がシームレスにブレンドされるように調整します。

青色は心理的にも生理的にもポジティブな影響を及ぼすという研究結果が多く挙げられており、ストレス反応の抑制という効果もあるのだとか。そういう意味では、美しい藍色を紙面上で再現した本作品は心理的に最も心地よく感じられる絵本なのかもしれません。

関連グッズ・関連施設

関連施設等はありません。

作品の感想・口コミ

「貴重な伝統技術を後の世に伝え残すことはとても大切。重要な役割を持つ絵本だと思う。」

「作品内に登場する藍染めの色や柄が本当に素敵で、美術書としても一級品。」

「日本と同様の藍染めがチェコにもあると知って、チェコという国に親しみを感じるようになりました。」

作品情報

書名 藍染めのアポレンカ
作者等 作:ロマナ・コシュトコヴァー
絵:ヴェロニカ・ヴルコヴァー/ヤン・シュラーメク
訳:小川 里枝
出版社 求龍堂
発行年月 2023年11月

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