大人におすすめの「シンデレラ」/きみ子さんのイチオシ絵本

大人にこそおすすめしたい絵本。その一つが安野光雅さんの『シンデレラ』です。

こんなシンプルなシンデレラ物語、読んだことない。安野光雅さんの描くキャラクターはもともと素朴で愛らしいのもあって、継母も義姉たちもひどく描かれていないこの作品はなんだか平和で心から楽しめる感じがします。

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このページの目次

ストーリー

2度目の母親と寝覚めの悪い2人の義姉と暮らすシンデレラは朝から晩まで働きづくめ。

ある日、王様のお城で王子の妃を決める舞踏会が開かれることになります。2人の義姉は懸命に着飾ってお城へと向かいましたが、着ていくドレスを用意してもらえないシンデレラは舞踏会へは行けません。

と、そこへ現れたのは魔法使いのおばあさん。シンデレラの働きぶりをいつも見守っていた魔法使いは「あなたのような優しい心の持ち主こそがお妃に相応しい」と言ってシンデレラに魔法をかけ、美しいドレスとガラスの靴を履いた世にも素敵なお姫様へと変身させます。

舞踏会で王子を独占したシンデレラですが、夜中の12時になると魔法が切れるので、慌ててお城を後にします。あとに残されたのは片方だけのガラスの靴。

シンデレラのことが忘れられない王子は、その靴がぴったり合う女性を探すようにお触れを出すのでした・・・。

作品について

誰もが知っている「シンデレラ」のストーリーを、安野光雅さんが独特の画風とユーモアたっぷりの語り調でアーティスティックに描いた作品です。

有名な物語だけに文章そのものはとても簡略化されており、安野さんのほのぼのとした世界観を楽しむためのダイジェスト版「シンデレラ」です。

もともとは1974年刊行の絵本とレコードがセットになった「こどものうたと名作童話 ドレミファランド 全16巻」の中の1冊で、絵本部分のみ2011年に復刊されました。

作者について

作・絵:安野光雅

画家・装幀家・絵本作家として世界に知られる安野光雅(あんのみつまさ)さん。小学校の美術教師を経て画家として独立した方で、文章がない絵本「ふしぎなえ」で絵本界にデビューして瞬く間に注目作家となりました。

「ふしぎなえ」、「さかさま」、「ABCの本」、「旅の絵本」など代表作も数多く、個性的で見た目楽しく暖かい雰囲気の水彩画で多くの人々を魅了しています。

ブルックリン美術館賞(アメリカ)、ケイト・グリナウェイ賞特別賞(イギリス)、BIBゴールデンアップル賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞画家賞などを受賞した世界的に知られる画家で、国内でも紫綬褒章、第56回菊池寛賞など数々の賞を受賞しました。

深掘り情報

「こどものうたと名作童話 ドレミファランド 全16巻」は絵本とEPレコードがセットになったもので、村上勉/安野光雅/武井武雄/司修/永田萌/長新太/水森亜土など名だたる作家が絵を担当していたお宝本的なシリーズ。現在でも古書として稀に出回っていることがありますが、入手は困難です。

『シンデレラ』は全てのページに魔法使いのおばあさんが描かれており、シンデレラのことを陰から見守っている”魔法使い探し”の楽しさも味わえます。

関連グッズ・関連施設

故郷の島根県津和野町に「安野光雅美術館」があります。

また、京都府京丹後市の和久傳ノ森(わくでんのもり)内には安藤忠雄さんが設計した「森の中の家 安野光雅館」があります。

作品の感想・口コミ

「内容は徹底的にシンプルにまとめられているのだけれど、個性的で楽しい絵と文章のおかげでこれまでお目にかかったことがないような”シンデレラ本”になっている。」

「大人ウケするシンデレラの絵本。やはり安野光雅さんの絵の魅力はすばらしい。」

「ストーリーとしては物足りないのですが、個性的な挿絵を楽しむための美術本として割り切ってしまえば、これはこれで名作絵本だと思います。」

作品情報

書名 シンデレラ
作者等 作・絵:安野光雅
出版社 世界文化社
発行年月 2011年07月

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