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大人におすすめしたいアストリッド・リンドグレーン~国際アンデルセン賞 「作家賞」(1958)

アストリッド・リンドグレーン (Astrid Lindgren, 1907年11月14日 – 2002年1月28日)

アストリッド・リンドグレーンは、スウェーデンを代表する児童文学作家であり、世界中の読者に愛される物語を数多く生み出しました。彼女の作品は、自由でユーモアにあふれた子供の世界を描きながらも、人生の深い真実や社会問題を含んでおり、子供だけでなく大人にも多大な影響を与えています。

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生い立ちと背景

  • 生誕と家族
    アストリッド・リンドグレーンは、1907年にスウェーデンの小さな村ヴィンメルビューで農家の娘として生まれました。自然豊かな環境で育ち、彼女の幼少期の経験は後の作品に深く影響を与えています。

  • 若い頃の経験
    若い頃、アストリッドは地元の新聞社で働き、そこで文章を書く技術を磨きました。結婚後、子育てを通じて物語を紡ぎ始めます。


作家としてのキャリア

アストリッド・リンドグレーンの作家人生は、彼女が娘のために作った物語から始まりました。その一つが、後に大ヒットする『長くつ下のピッピ』です。

  • デビュー作
    1945年、『長くつ下のピッピ』(原題:Pippi Långstrump)が出版され、瞬く間に人気となりました。この作品は、子供の自由で型破りな生活を描き、多くの子供たちに夢と勇気を与えました。

  • 国際的成功
    リンドグレーンの作品は70以上の言語に翻訳され、世界中で親しまれるようになりました。


代表作

  1. 『長くつ下のピッピ』 (Pippi Långstrump)

    • 世界一強くて独立心のある赤毛の少女ピッピが、型破りな冒険を繰り広げる物語。ピッピは「自由な子供」の象徴として広く愛されています。
  2. 『やかまし村の子どもたち』 (Alla vi barn i Bullerbyn)

    • スウェーデンの田舎で暮らす子供たちの素朴で心温まる日常を描いたシリーズ。
  3. 『ロッタちゃん』シリーズ (Lotta på Bråkmakargatan)

    • ユーモアと温かさに満ちた、いたずら好きな少女ロッタの物語。
  4. 『ミオよ わたしのミオ』 (Mio, min Mio)

    • ファンタジー色の強い物語で、愛と喪失、そして勇気のテーマが描かれています。
  5. 『やねの上のカールソン』 (Karlsson på taket)

    • 空飛ぶ小さな男の子カールソンと、彼と友情を深める少年の物語。

テーマと作風

  1. 自由と個性
    リンドグレーンの作品は、型にはまらないキャラクターや独立心を持つ主人公が多いです。彼らの自由な生き方は、読者に自分らしさを大切にすることを教えてくれます。

  2. 人間関係の温かさ
    家族や友人との絆、そして愛情をテーマにした作品が多く、読者の心に優しさと共感をもたらします。

  3. 現実的な問題
    ユーモアの裏には、社会の不平等や戦争、死など、深刻なテーマも描かれており、読者に考えさせる要素が含まれています。


『長くつ下のピッピ』 (原題: Pippi Långstrump)

あらすじ

主人公のピッピ・ロングストッキングは、赤いお下げ髪とそばかす、長い靴下と大きな靴がトレードマークの9歳の少女。父親は船長で、母親は彼女が幼い頃に亡くなっています。ピッピは「母親は天国で見守ってくれている」「父親は海賊の王で、今は遠い南の島で生きている」と信じています。

ピッピは一人でスウェーデンの小さな村にある古い家、ビラ・ヴィレクーラに住んでいます。彼女には家族こそいませんが、友達やペットがいます。

ペットのサルはミスター・ニルソン。斑点の馬は名前はついていませんが、家の縁側で暮らしています。

近所に住む兄妹、トミーとアニカは、ピッピの親友です。トミーとアニカはピッピの自由でユニークな性格に惹かれ、一緒に冒険を楽しみます。

ピッピは並外れた怪力の持ち主で、大人を片手で持ち上げたり、馬を軽々と動かしたりできます。この力を使って、友達を助けたり、悪者を懲らしめたりします。

学校に通ったことがないピッピは、トミーとアニカの誘いで学校を訪れるものの、先生たちを困惑させるような型破りな発言を繰り返します。「答えを知るために学校に行くのなら、答えを知らない今の方がいい」と語ります。

ピッピの父親が海賊の王だという設定から、海や冒険の要素が物語に加わります。父親から送られる贈り物やピッピの語る奇想天外なエピソードが、読者をワクワクさせます。

ピッピの家に侵入した泥棒たちは、彼女の怪力と機転で翻弄され、結局何も取れずに逃げ帰ります。ピッピは危険な場面でも常にユーモアを忘れません。

社会のルールや大人の常識にとらわれないピッピは、村の人々を驚かせたり困らせたりしますが、最終的にはみんなを笑顔にする魅力を持っています。

テーマとメッセージ

ピッピは、常識にとらわれず、自由に自分らしく生きる姿を通じて、読者に「自分自身であることの大切さ」を伝えます。

大人のルールに縛られず、自分の力と知恵で世界を切り開くピッピは、子供たちに勇気を与えます。

トミーとアニカとの友情、動物たちへの愛情、さらには父親への信頼など、ピッピの人間関係は温かさとユーモアに満ちています。

『長くつ下のピッピ』は、子供の無限の創造力と可能性を称賛する作品です。ピッピのキャラクターは「型破りで自由な子供」の象徴であり、その姿勢は時代を超えて愛されています。また、大人に対する痛烈なユーモアや批判もあり、幅広い読者層に支持されています。

『やかまし村の子どもたち』 (原題: Alla vi barn i Bullerbyn)

あらすじ

物語の舞台は3つの農家だけで構成された小さな村「やかまし村」。子どもたちがいつも元気に遊び回っているので「やかましい」と名付けられました。村には北の家・南の家・中央の家の3軒の家があります。

物語の語り手は、中央の家に住む7歳のリッサという少女です。リッサは好奇心旺盛で元気いっぱいの女の子。リッサの兄たちはボッセとラスセで、イタズラ好きで冒険好き。

ブリッタとアンナは北の家の姉妹。ブリッタはしっかり者、アンナは優しくのんびり屋。

オッレは南の家の少年。動物好きで、村の冒険に欠かせない存在です。

リッサたちの日常や四季折々の出来事は、シンプルながらも心温まるエピソードがいっぱいです。

リッサたちは、村の中や自然の中でさまざまな遊びを楽しみます。森での探検、川遊び、木の実採りなど、何気ない日常が彼らにとっては大冒険です。

やかまし村では、季節ごとにさまざまな行事が行われます。

冬になると子どもたちはクリスマスの準備に大はしゃぎし、家族と一緒に楽しい時間を過ごします。

夏は収穫祭。子どもたちは家族と一緒に働きながらも、遊び心を忘れません。

誕生日のお祝いには、子どもたちがサプライズを企画し、村中が一緒に祝います。

ラスセやボッセのイタズラにみんなが巻き込まれ、笑いが絶えません。リッサやブリッタも負けじと仕返しを企てたりします。

オッレが子犬を飼ったり、子どもたちが牛の世話をしたりするエピソードも。動物たちは、彼らの冒険や日常に欠かせない存在です。

子どもたちは大人たちとも良い関係を築いており、時には大人たちに叱られることもありますが、そこにも愛情と思いやりの心があります。

テーマとメッセージ

リッサたちの日常は、自然の中で自由に遊び回ることの楽しさや、仲間と過ごす時間の大切さを教えてくれます。

子どもたちは親や村人たちと深い絆で結ばれており、コミュニティの中で助け合いながら生きる温かさが描かれています。

スウェーデンの田舎の豊かな自然が物語の背景となっており、自然を大切にし、共生する心が育まれます。

物語に大きな事件はなく、子どもたちの日常の延長で終わります。しかし、それがこの作品の魅力でもあります。日々の些細な出来事が、子どもたちにとってはかけがえのない思い出として輝いています。

田舎ののどかな風景と、子どもたちの自由でのびのびとした生活は、多くの読者に懐かしさと癒しを与えます。

リッサの視点で描かれる物語は、純粋でユーモラス。子どもたちの感性が丁寧に表現されています。

家族、友情、自然の大切さといったテーマは、世代を超えた普遍的な価値観として共感を呼びます。日常の中にある喜びや幸せを見つける大切さを教えてくれる作品です。

『ロッタちゃんのひっこし』

あらすじ

主人公のロッタちゃんは、ブロッケマカーガタンという通りに住む家族の末っ子です。元気で活発なロッタは、ちょっとしたことで大騒ぎをすることもあり、兄のヨナスと姉のミア=マリアと時々ケンカをしますが、基本的には仲の良い家族です。

ある朝、ロッタは大好きな黄色いセーターがチクチクして着たくないと大騒ぎします。母親が「我慢しなさい」と言うと、ロッタは怒りでいっぱいになり、「こんな家、もういや!」と叫びます。そして、家を出ていくと言い出します。

ロッタはひとり暮らしを決意し、近くに住む優しいおばさん、ベラの家の空き部屋(物置)に移り住むことを決めます。お気に入りのぬいぐるみやおもちゃを持ち込み、まるで本当に独り立ちしたように振る舞います。

こうしてひっこし生活が始まりました。最初は自分だけの「新しい家」にワクワクするロッタ。好きなものだけ食べ、やりたいことだけをする自由な生活を楽しみます。しかし、次第に家族がいない寂しさを感じ始めます。

家族はロッタの冒険を温かく見守りながら、彼女が自分で帰ってくるのを待ちます。最終的にロッタは、「やっぱりおうちが一番!」と気づき、家族のもとに戻ることを決めます。家族は何事もなかったかのように彼女を迎え入れ、ロッタは安心して再び家族と暮らし始めます。

テーマとメッセージ

ロッタのひっこしは、子どもの「自分でやりたい」「認められたい」という独立心の表れです。家族の温かい見守りの中で、自分の力で気づきを得る様子が描かれています。

ロッタの家族は、彼女のわがままにも寛容で、彼女が戻ってくるのを温かく待つ姿勢が示されています。子どもが自分で成長する機会を与える家族の愛情が感じられます。

子どもにとって日常の小さな出来事が、大きな冒険や学びになることを示しています。

受賞歴と功績

  • 国際アンデルセン賞(1958年)
    児童文学における生涯の業績を評価されて受賞。

  • ライト・ライブリフッド賞(1994年)
    「もう一つのノーベル賞」と呼ばれる賞を受賞。子供たちの権利と平和のための活動も評価されました。

  • その他の栄誉

    • スウェーデン国内で最も権威ある文学賞や名誉称号を多数受賞。
    • スウェーデンでは「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」が設立され、彼女の功績を称えています。

おわりに:アストリッド・リンドグレーンの魅力

アストリッド・リンドグレーンは、児童文学界に革命をもたらしました。彼女の作品は、子供たちに自由と勇気を与えると同時に、社会的問題に目を向けるきっかけも作りました。その影響は今日でも続いており、彼女の作品は親子で楽しめる普遍的な文学として愛されています。

彼女の言葉やキャラクターは、私たちに「想像力と優しさを忘れない」ことを教えてくれる存在です。

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