中高年の運動不足が問題になっています。
体型の変化や体力の低下が気になり始めると、
「ここらで心機一転、スリム体型に戻るまでがんばって運動しよう」
というような気になる人もいたりしますが、急に運動を始めて
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中高年から始める運動の注意点
中高年から始める運動で注意したい点は次の4つです。
若い頃の3割ぐらいからスタート
筋肉の量は20歳ぐらいがピークで、それ以降は年に1%ずつ減っていくといわれています。もし20歳から50歳まで全く運動をしていなかったとしたら、30%オフになっていることになります。
若い頃と違うのは筋肉量だけではありません。心肺機能という点でも、血管年齢という点でも問題がありますから、トータルで60%オフというところでしょうか。
中高年になってから運動を始めようという人は、まずは若い頃に経験した運動量の3割程度からスタートする方が安全です。若い頃に3キロぐらい普通に走っていたという人なら、中高年になって久々に走る距離は1キロ。それ以上は走りません。
筋力トレーニングも同じで、「ちょっともの足りないな」と感じる程度でやめておきます。無理をしても続かなくなるので、まずは習慣化できる程度の運動強度からスタートしましょう。
筋肉痛は極力避ける
自分の現在の体力に相応しない運動を突然行うと、次の日は全身が筋肉痛になり、走る前よりも余計に活動量が落ちてしまいます。これでは本末転倒です。
中高年の場合、筋肉痛や関節の炎症はなかなか治りません。炎症を起こしたまま運動を続けると、慢性炎症につながる恐れもあります。
何日か続けた後でも修正は必要です。もし運動をした翌朝に筋肉や関節部に痛みが残る場合、運動負荷
若い頃は筋肉痛は運動すれば治るというような感覚でいた
また、中高年には運動した日の翌日ではなく数日経ってから訪れる筋肉痛というのがあります。遅発性筋痛症と呼ばれるこの筋肉痛は、身体の動きを抑制したり、関節の稼働域を制限したりするため、転倒などの原因になることがあります。
いろいろなことを想定した上で運動をすることで、安全に習慣化することができると思います。
準備運動と整理運動をしっかりやる
中高年の身体は筋肉の反応や神経の反射、関節の柔軟性などが、
部位によってはもろくなったり硬くなったりしていることがあるので、温めたりほぐしたり伸ばしたりしてから運動を始めるようにしなければなりません。
特にアキレス腱や肩の腱板などは損傷しやすいことで有名です。本当に久しぶりに運動を始める人なら、しばらくの期間は大腿筋やハムストリングス(腿の内側からアキレス腱にかけての筋肉)、背中、肩のストレッチなどを行うだけで済ませてもいいかもしれません。
また、運動をした後もストレッチなどを入念に行い、疲労を残さないように心がけましょう。
ハンマー投げで数々の記録を残した室伏広治さんは、30歳を過ぎてからはウォーミングアップに1時間を費やすほど慎重にトレーニングを行っていたと聞いています。トレーニング後はマッサージなどを入念に行って、その日の疲れをその日のうちに取ることを目指していたそうです。
筋肉に休養と栄養を
中高年から運動を始めると、急いで筋肉をつけようとするあまり無理なスケジュールを組んだり、ハードワークで故障したりする人が多いと言われています。
筋肉の発達も若い頃とは違いますから、無理に筋肉を付けようとしないほうが長続きします。
トレーニングは週に2~3回を限度に、無理のない範囲で行うことが長続きのポイントです。やり過ぎは逆効果になります。
また、タンパク質など十分な栄養を補給することも忘れずに。
目標を明確に、そしてほどほどに
中高年から始める運動は、ほどほどの難易度の目標を明確に持つことで習慣化に成功する率が高まると言われています。
普通の中高年なら、こんな目標になるのではないでしょうか。
・階段の昇り降りをしても息が切れないようになりたい。
・また山登りができるようになりたい。
・疲れにくい身体を目指したい。
外見的なものが目標になる場合もあります。
・体重を10キロ減らしたい。
・上体にもっと筋肉を付けて逞しくなりたい。
健康診断の数値が目標ということも・・・。
・骨密度が低いと言われたから。
目標は人それぞれですが、それを達成するためのアプローチは共通しています。
それは、
無理なくできることを継続して行う
ということ。
最終目標は「健康な身体づくり」ですから、ずっと続けなければ意味がありません。
「体重が減ったので終わり」「コレステロール値が下がったのでもういいや」にはならないようにしたいものです。
トップアスリートを目指すわけではありませんから、あまり頑張らないで、ほどほどに続けられるのが一番ですね。
まとめ
厚生労働省の調べによれば、運動習慣を持つ中高年は3割程度しかいないそうです。
中高年になって誰もが気づくのは「若々しさは顔ではない」ということ。
体型であり、筋肉の張りであり、身のこなしです。
筋肉は何歳からでも再生すると言われていますから、今からでも遅くはありません。3割への仲間入りを目指してスロースタートを切ってみませんか。